#うつ と #アパシー (意欲の喪失) 2012高次能機能障害学会サテライト・セミナー レポート2
村井 俊哉 (京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座精神医学分野)
の講演
これは自分を鬱病と思い込んでいる人にぜひ読んでもらいたい話。
まずアパシーは今までずっと鬱病とセットとして考えられていたのですが
※鬱病とアパシーは切り離されて出ることが少ないからなのですが
どうやらこれは別物だという事が最近になって分かってきました。
まずアパシーというものを定義として
となっています。
Levyらの見解
・アパシーは、神経変性疾患において高頻度に生じるが、ただしそれはうつとは区別できる。
・アパシーの存在は、神経精神医学的評価のルーチンとして行うべきである。
・アパシーを「うつ」のせいにしてはいけない。
・「うつ」の診断は、悲しみ。無力感、絶望、無価値感に基づきなされるべきである。
なぜ、これをことさら持ち出すかというと
うつとアパシーを区分しなければいけない理由があるからです。
うつになると最初に処方される
坑うつ薬SSRIはアパシーを悪化させるケースがあるからです。
有名なものでは、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト),シタロプラム(日本未発売),エスシタロプラム(レクサプロ)が該当します。
ではアパシーの場合、何を処方すれば良いのでしょうか?
実はこの研究はまだ始まったばかりであり、これといった薬による治療法がありません。
下手に投与するのは、とてもトライアングラーだと村井俊哉先生はおっしゃいました。
対応もケースバイケース、生活リズムの確立が重要だと言われています。
また、本人の自覚、自発的行動を促す事にこだわりすぎない事も重要です。
アパシーの診断は他者評価が重要になってきます。
うつとアパシーの関係は
自己評価だと相関関係にあるようですが
他者評価だと非相関関係になるようです。
自己評価によるアパシーの診断は危険だといえるかもしれません。
アパシーの神経科学的理解としては
目標に方向づけられた行動の量的減少
と定義されています。
下位分類として(levy 2006)
・情動アパシー
・認知アパシー
・自己活性化障害=自分でスタート出来ない によるアパシー
損傷部位との関連性ですが
と言われていますが、どうやら線引きが難しいらしく
明確にはわかっていないと言われています。
あくまでも仮説として記憶にとどめておく程度が良いでしょう。
このアパシーというものをうつと混合して捉えている方は
とても多いと思います。
しかしアパシーに関する資料が少ないとはいえ
うつとして治療をするのは非常に危険な対応です。
実際の損傷部位にも違いがあると言われており、今後の医学的発展を強く期待するところです。
病気の自己診断は危険です。このブログはあくまでも学術的利用を前提としており
個人の医学知識の補強として記入しています。
治療などに対して、このブログの内容を参考にするかどうかは自己判断でお願いいたします。