古書籍、値段の付け方

古本における値段の付け方は
仕入れの次に重要な事だと思う。

そのやり方にはいくつかの手法があって
自分で編み出した方法をいくつか紹介すると


1.ネット検索法
アマゾン、オークションサイトの過去の販売履歴を調べて
それに合わせる方法
メリットとしては、簡単で誰にでも出来るが
デメリットとして、現実離れした異常な値段が出たり、データがないと値段を出せない。


2.物価変動法
書籍の定価を参考に、そこから物価の上昇率を掛ける。
例)昭和○○年の書籍なら、そこから物価が現在4倍に上がっているので
定価をそのまま掛けると、おおよそ現在の値段が出る。
メリットとして、誰にでも出来る、データが無くても出せるが
デメリットとして実際の取引価格、流行を無視する事になり、高額になってしまったり
逆に安くなりすぎる場合もある。


3.需要供給バランス法
現在の需要と供給のバランスを調査して、そこから値段を割り出す。
参考として、おおよそ100万人の需要(欲しがる人)があり、供給(流通する数)が1とするならば
書籍の価格は100万にする。
需要が増えれば価格は上がり、下がれば減る。
供給が増えれば価格は下がり、下がれば増える。
なお、100万の需要とは手塚漫画、藤子不二夫漫画デビュー作を基準にしている。
メリットとして、高額な書籍、データの無い書籍も扱えるが
デメリットとして、無名な書籍は調査に非常に時間がかかり、鑑定だけで赤字になりかねない。


大半の値段の出し方はネット検索法で問題ないが
全くデータが無い場合は物価変動法
明らかに需要が無さそうな商品、逆に需要がある商品はバランス法を選んでいる。

・時代における書籍の価値として
バブル景気時代には、通称「飾り本」という
外見は立派だが、中身はスカピンな書籍が大量に出回っており
これに関しては捨てるかブックオフに持ち込む事をお奨めする。

1945年を境にそれ以前の本の値段は急騰する。
これは戦中戦後の戦火を生き残った本であり
また当時は焚書としてGHQが書籍を大量に没収しており
それを秘密裏に潜り抜けた書籍の価値は当然に倍加すると考えていいと思う。

平成において書籍の出版数は巨大マーケットとして爆発的な勢いで増えているが
決して良質な書籍が大量に発行されているわけではなく
大半は作家気取りのクズ本を大量に作り出して、読み捨て状態となっている。
そういった本の大半は、読み返す価値がなく、当然思い出されもしない。
そういったクズ本には値段のつけようもなく
ほとんどゴミと化す。
1円でも売れれば良いほうで、1円でも買い手がつかず
アマゾンでの在庫も数百〜数千を超えてしまうような書籍だと
初版、新品同様、帯付ぐらいの最上コンディションでもなければ
まず売れない。
こういった本は、ほぼ紙資源行きとなり、古本屋としても切ないものである。
ちなみに本の分類として婦人向けの本、子供向けの本ほど読み捨て傾向が強く
流行を意識しており、消費期限が来るのも早い。
男性向け、大人向けの書籍ほど流行に流されず、期限が長い。


同人雑誌の場合は、価値が非常に見抜きにくく
またISBNがついていても同人誌とほぼ同じ程度の価値しかないものもある。
いわゆる自費出版本で、出版社もだいたい決まっている。
出版社名は出さないが、だいたいそういった書籍の大半は
中身がスカピンなために値段もスカピンであり、1円でも売れるかどうか分からない。
中には自費出版のため流通量が少なく、アマゾンでむやみに高額な値段で出品しているのを
見かけるが
全く誰も買わない本を、無駄に値段だけ上げているだけであり
倉庫の維持と管理の手数料がかかるだけなので、さっさと捨てる事をお奨めする。


漫画というジャンルは日本固有の文化を形成しており
非常に確実に売れる書籍として有効なのだが、困った事に単価が低く
ネットにおける販売は思ったほど好調とはいえない。
新刊、セットは値段を維持しているのだが
ひとたび1円本にまで値段を下げると、ネットにおいて再度価格が引きあがるには
アニメ化や再放送などを待たなくてはいけない。
うちではセット本、コンディション良好、1冊でも価値がある漫画以外は
廃棄処分か、売却処分してしまっている。
時々、セットギリギリラインの巻数が集まっていれば、ブックオフを回って揃えてみたりもするが
基本的には手間賃の方が高くつくというのが今の私の考えであり
大量のセット本を扱わない限り、たかだか数セットの本のために
ブックオフを回るのは、実にバカバカしい行為だと思う。
また、数百セットを同時に設定して販売という方法も、今度は逆に
ブックオフ側に目を付けられてしまい仕事がしにくくなるだろうと思う。
結局は地道に買取を進めた方がいいのではないだろうか?




ジャンル別に見ると

ファッション、漫画、PC、ライトノベル、ビジネス経済、政治
などが短期
文学、スポーツ、健康、科学、医学、写真集
が中期
哲学、思想、宗教、音楽、古典文学、戯曲、絵本
が長期
で価格を維持していると思う。
もちろん特例もあるだろうし、やや意見が違う場合もあるだろうが
そこはあくまでも私の意見として、こう見ていると考えて欲しい。

なので、私としては短期に値段が崩れる書籍は、相場より安くして
素早く整理し
長期の書籍は、やや高めに値段を設定して、売れるのをのんびり待つ傾向にある。



あくまでも全て私のやり方であり
個々にどのようにするかは、店主が決めればいいと思う。
仮にうちのやり方を真似して損害を負っても、私は責任を取る気は無い。
むしろタダで教えてやっているんだから授業料が欲しいぐらいだ。


なんで、授業料が欲しいような情報を公開するかというと
私は今、非常に強い危機感を感じている。
電子書籍元年、今年がそうなる可能性は十分にある。
古本屋関係者の楽観視が逆に私はとても怖い。

仮に3割程度しか顧客を取られなかったとしよう。
言っておくが、3割売り上げを取られたら、うちなら間違いなく廃業する。
3割売上減って、まだやっていける古本屋が、そんなにあるのかな?
景気が良かった状況から3割減るわけじゃない。
今の景気から、さらに3割落ち込むのだ。とてもやっていけない。

古本屋にとって、ここは背水の陣であるはずなのに
全く何の動きも無い事にたいし、強い危機感を感じざるを得ない。
家電販売の大手がキンドルの販売を拒否しているほど
業界全体の危機感は強いのに、我々はアマゾンに対して何も出来ないのだろうか?
このままでは、本当に喰われて消えると思う。

たぶん我々がタカを括っているより、キンドルは遥かに大きな黒船だと感じる。
ちょっと敵を侮りすぎているんじゃないだろうか?

もし私のこの情報で、少しは仕事が潤うのなら
キンドルの対策を一緒に考えてくれないだろうか。
そういう思いから、公開した。
仕事というのは楽観視してはいけない。
常に危機感を持ちながら、仮にそれが杞憂であったとしても
空が落ちてこなかったのなら、それはそれでいいじゃないか。


あくまでも個人の主観にて記載しております。
諸々の判断は、個々に審査して自己責任で活用ください

医学に関して、当方は患者であり医学者、治療者ではありません
全ての判断は個人にお任せしております
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古本屋エイジロメン 店長ブログ 高次脳機能障害と仕事と日々の暮らしと… 園田広宣
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