Action disorganization syndrome(ADS)アクション混乱症候群 2012高次能機能障害学会サテライト・セミナー レポート1
まず1時間目の発表は
種村 留美
Action disorganization syndrome(ADS)
これを、とりあえずアクション混乱症候群と訳しておく。
一般的にも起こるものだが
これが多発すると高次能機能障害の疑いが強い。
高次能機能障害というと、記憶障害がつい分かりやすくなってしまうが
実際に障害としては、こちらのほうがより一般的な生活に
直結しており、問題行動となる可能性が高いかもしれない。
これは、物体の意味は正確に理解しているものの
その使用手順に誤りが生じたり
行動の構成要素が脱落したりする。
ステップが多くなるほど発現する。
ワーキングメモリ保持の問題ではないかと言われている。
重症(前頭葉損傷 シュワルツ・レポート)例としては
・フォークでコーヒーを混ぜる
・カミソリで歯を磨こうとする
・コーヒーを飲んでから砂糖を入れる等
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また、アクションスリップ(Action Slip)という現象も紹介された。
これは注意が散漫となり誤って違う行動を取ってしまう事である。
健常人でも多い。
分類として =例)
・脱線 =ネクタイを取りにベッドルームに行ったらベッドで寝てしまう
・機を失う =洗濯物を取りに行ったら掃除をして洗濯物を忘れた
・過剰な =形式が変わると今まで自動的にできたことができなくなる
・曖昧な =電話のベルが鳴るのを待っていたら、玄関のベルで電話を取った
・Falsly specified oppotunity =電話をかけ終わり、客が来たのでドアに行き「もしもし」と言ってしまった
注意したいのは「自動性の亢進」とは別物だという事である。
自動性の亢進というのは、意志と無関係に動作をする事であり
行為そのものを当人の意志で行っている点が大きく違う。
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この行動障害は複雑になるほど成績が低下する。
口頭で行動を説明できても、行動に誤りが出るため
行動の教示を実現するワーキングメモリと言語的ワーキングメモリとは乖離している
という結論が出る。
その結果
・新規な行動が必要な場合に、標準的な行動が出現する。
という混乱が生じる。
私の場合も、アクションスリップが非常に多く発現する。
対策として新規行動を最小限に抑えて、なるべくルーチンワーク化するようにしている。
新しい行動は、重大なミスを生み出す可能性を秘めていて
非常に危険だからだ。
そして、上の説明にあるとおり
言語ワーキングメモリと行動ワーキングメモリには乖離があり
仮に言葉で理解しても、行動が正しく行えるとは限らない事を
当事者、介護者などは把握しておくべきである。