近代デジタルライブラリーの公開書籍について思う古本屋の考え(異端かもしれないが)
近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/?__lang=ja
最近、にわかにこのサイトが問題になっている。
ここの運営は国立国会図書館が担っているのだが、ここのサイトがあるが上に
古書価格がさらに減少していると言われている。
知っている人には説明不要だが
著作権が終了した書籍をデジタルデータとして画像で提供しているサイトで
•【雑誌】 ◦英語版官報 約2,000点
◦医学中央雑誌 約3,000点
の書籍が無料で閲覧できる。
明治からの貴重な書籍が、無料で見られるとあって
ランキングトップの
御贔屓姿見双六などは22万ものアクセスがたった一か月で出されている。
これが実際に古書にどれだけ影響力があるかはなんとも言えない所だが
一部古本屋にとっては脅威であり、うちもお客様から古書を買取する時
「これは国会図書館で電子書籍として無料掲載されているんです」
と説明する事が本当に増えてしまった。
以前は「青空文庫」だったが、現在は国会図書館となった為に説得力もずいぶん上がってしまったし
青空文庫のように文字をデジタル化したものではなく、書籍そのものを画像データとしたために
フォントまで全て表示できるようになった。
これに古本屋から民業圧迫ではないか?という意見が出されている。
元々、図書館は新刊の図書を無料で貸し出しており、民業圧迫は今日に始まった事では無いのだけど
インターネットで公開されてしまうと、その影響力は地域の図書館個々の比ではないという。
そこで古本屋の一部から「日本の古本屋」のリンクを付ける事でバランスをとったらどうでしょうかという意見が出されている。
以上が現状の説明。
ここから私の意見です。
まず「日本の古本屋」サイトだけが、日本の古本屋の全てではない。
ネット古本屋の大半はアマゾンで販売、流通されているし
中にはトレインブックスさんのように、個々のショップで販売されているサイトもある。
公共の施設が、民間の1業務だけを支援する事は許されないと私は思う。
だから、リンクを載せろというのであれば、それなりの「広告料」を支払うのが筋であろうと思う。
そもそも
「著作権切れをネット公開しているから、民業圧迫であり、民間企業の支援をせよ」
というのは、古本屋から見ればそうだそうだと意見が飛ぶだろうが
一般的な社会から見れば、筋違いもいいところではないだろうか?
古本屋とは「顧客の所有権を重視し、その本を買い取って仕入れとし、それを別の読者に安く提供している」のはご存じのとおりであり
作家、著作権者の利益を侵害しているのは明らかである。
作家、著作権者の利益と、購入者の所有権を比較して、所有権に重きを置いた判断によって
我々の業務は成り立っているのであって、著作権者の利益を侵害している事実には違いはない。
時代に流れの中で、著作権切れの物が売れなくなるのは、当然の流れだと思う。
お客様の買取価格が下がってしまうのは、可哀想だと思うが
商売の上でそれを感傷的にやっていては、仕事にならない。
値段が崩れている以上、はっきりと値段にならないと告げ、買い叩く部分は買い叩き
売れない物は売れないといい、それでもお客様が処分したいと言うのなら
引き受ければそれでいいと私は思う。
10年前、古本屋は安泰だと言われていた。
10年後、古本屋の4/5は店をたたんだ。
それは古本屋という商売が、自分たちの業種と権利に胡坐をかいていた結果ではないだろうか?
キツイ事だって言わなくちゃいけない。
我々がやっているのは遊びや道楽ではなく、商売なんだから。