検察側の罪人 木村拓哉&二宮和也 非常に正確によく出来ている

ネタバレあるので、まだ見てない人は読まないでください。

kensatsugawa-movie.jp




正直、ジャニーズ映画ではないか、アイドル映画ではないかと
不安になって見ていたのだけど

その不安は最初の10分で一気に払拭された。

検察の知識が正確で、いわゆるアイドル映画やヒーロー映画とは違う
リアリティに対する強い信念が感じ取れた。
(もちろん映画なので、演出的な部分もある ギャベル等は執務室に飾ったりは普通はしないだろう)

取り調べの可視化は現代でも大きな問題として
全面的にやるべきという話と、状況に応じて止めるべきという意見もあり
どちらが良いのか私には分かりかねる。


映画のストーリーはやや込み入っており
少し詰め込みすぎた感がある。
検察の可視化、冤罪事件、さらに政治の汚職や暴露本を書こうとしている記者、インパール作戦が入ってきて
本筋とは関係のない、やや無駄な話が削ぎ切れていない気がする。
回収できていない伏線が多く、消化不良になりかけている。


突然の脈絡のないキスシーンが入ったりするのも、ちょっと違和感を覚えたが
役者の強い演技力で乗り切ったという感じがする。

特に検察の取調べシーン(録画・録音を止めた直後)は熱が入っており
俳優二宮和也の本領発揮というところだろう。


その他、木村拓哉氏が自身の正義(と称する個人的復讐)を成し遂げようと
数々の犯罪行為に手を染めていく表情、拳銃を撃った直後の
怯えた顔、その後の迷いを持ちながら語る不安定な正義に
不思議なほど共感を覚えてしまった。

いくつか気になる点としては、なぜ松倉重生は殺されたのか。
これはほぼ間違いなく、諏訪部利成が忖度して殺したのだろう。
この映画は現代の時事問題を強く意識しており
木村拓哉が「俺は、殺しの依頼はしない」と発言する。
つまり直接的な表現をすると

「殺すな」とは言ってないから殺したと思われるわけです。
なぜ殺したのか?それは諏訪部の利益になるからです。
別に生かしておいても良かったのだろうが
殺しておけば、何かあった時に木村拓哉を道連れに出来ます。
脅せば金も取れるでしょう。
だから殺したのです。それが彼らのやり方であり、アフターサービスでもあるのでしょう。


老夫婦を殺したのは誰だったのか?
実は、老夫婦を殺したシーンは一度も出てきません。
間違えてはいけない事ですが
物証があろうが、証言があろうが、それを現実に見ていない限りは
全て推測の域を出ません。
だから弓岡が殺したのか、松倉が殺したのか
本当のところは誰も分かりません。
だから弓岡は老夫婦を殺した事を吹聴して回っていましたが
それが真実かどうかもわからないわけです。
物語としては実はそれほど重要ではないのもありますが
むしろ意図的に殺害シーンを無くしたと考える方が
実際の本筋を考えれば適当かもしれません。



吉岡百合子さんが、暴露本を書く記者(物語上の情報通)として登場しますが
いまいちストーリーの上では役割がはっきりしませんでした。
二宮くんの必要な情報を渡すという役割なのですが
ピリっとした映画の中で、清涼剤的役割をいれたかったのでしょうか?
個人的にはあまり効果がなかったような気がします。
ファンの方には申し訳ありませんが。


気になったといえば松倉の部屋に
自転車の部品が多く飾ってありました。
モービルに関しては、どうやら酒匂さんの趣向らしいのですが
自転車にかんしては??でした。
ちなみに木村拓哉氏も、座禅のような事をしている時に自転車に乗っている
姿が見られましたね。何か繋がりがあるのでしょうか?

二宮和也演じる検事の求める正義には
冤罪を無くそうとする強い意志が感じられました。
しかし冤罪を晴らした松倉には、過去の事件に対する反省の意思もなく
彼がやった事は結果的には無駄に終わります。

対して木村拓哉演じる検事は別件逮捕から始まり
果ては冤罪である事を知っていながら、自己の正義を満足させるため
そして、最後は友人の政治家の死に背中を押されるように
真犯人と思しき人物を闇に葬ってまで、松倉を犯人に仕立てあげようとします。
裁判ではそれは無罪になったものの、その意思はそのまま
松倉への私刑という形で、実現してしまいます。

この元は尊敬していた師弟ともいえる2人の
相反する行動は結果的にどちらも期待する形とは落ち着かず
お互い自らの行動を後悔しながらのラストとなっていきます。

どちらが正しいとも言えません。
木村拓哉演じる検事の「正義は時代とともに変わる」という言葉は重く
また、そもそもの正義とは何かという哲学的な面から捉えても
この話には答えが見つからないだろうと思います。

しかしながら、唯一、分があるのは検事に残った木村拓哉側の検事でしょう。
彼は今後も検事という仕事を続けて、正義を探し続ける事が出来ますが
二宮和也の先は見えません。
しかし、殺人を犯してしまった検事が、その職を続ける事は大変な重責と良心の呵責に耐えなくてはいけません。

そこから先は、個々に想像するしかないでしょう。


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